2018年のジェンダーレスファッション事情について
近年のファッション業界において、
「ジェンダーレスファッション」
とはトレンドキーワードとなりその認知を広めています。
今回はそのジェンダーレスファッションについて、歴史や2018年の動向など少し掘り下げて見ていきましょう!
◆ そもそもジェンダーレスという考え方が生まれたきっかけ
ジェンダーとは、社会的、あるいは心理的な意味合いから見た、男女における性別の違いのことを言います。
生物学的には別の言葉で表現するため、生物学的にではなく、あくまでも社会的、心理的に性別を区別する言葉が生まれたのは、その必要があったからです。
女性は女性らしくとか、女性はこうあるべきといった具合に、どちらかというと女性を拘束する要素が多かったことから、女性が反発することで生まれたと言ってもいいかもしれません。
その証拠に、ジェンダーレスファッションを生み出した最大の理由は、社会の役割としての男女の性差をなくそうという考え方が発端でした。
ジェンダーレスの考え方に基づく活動や行動は、ファッションだけにとどまってはいませんでしたが、見た目にハッキリとわかりやすかったのがファッションだったのは確かです。
◆ 衝撃を与えたジェンダーレスファッション
世界のファッション業界も、このジェンダーレスの考えに関心を寄せました。
むしろ他の様々な活動よりも、より強い関心を寄せたと言っていいでしょう。
その結果、これまでの常識であれば男性が着る洋服を、トップモデルに着せたのです。
このジェンダーレスファッションは、モード界はもちろん、世界中に衝撃を与えることになりました。
1996年 イヴ・サンローラン(YSL)
男性用のタキシードをアレンジしてクールな女性用のスーツに仕立てあげます。
出典:http://high-brands.com/highbrand-brand.php?id=8&stid=53
その後、ジェンダーレスなスタイルをする女性のことをジェンダー女子と呼ぶようになるなど、女性の間でまずジェンダーレスは浸透していきます。
そして、女性の格好をするジェンダー男子も登場し、今では男性が女性と同じような華やかなメイクをし、スカートを穿くようにもなっています。
ただ、日常生活においてはジェンダー女子は通用しても、ジェンダー男子はなかなか受け入れられないのが実情です。
そのため、ジェンダー男子はエンターテインメント関係の仕事をする男性に多いとされています。
◆ 2018年は意識改革というよりは認識の年
その後、ジェンダーレスファッションはますます広まり、すっかりファッションスタイルの一つとして定着していきます。
この流れを少しばかり変えたのが、2018年だったのではないでしょうか。
生物学的に男女の性を表現する言い方が別に存在するため、ジェンダーとはむしろ文化であり、そこには何ら制限されるものはないという考え方がより強くなってきたからです。
そのため、2018年はジェンダーフリーが重視される年になったと言えます。
すでに数年前から、超一流ブランドからファストファッションブランドに至るまで、男女関係なく着られるファッションアイテムが作られており、2018年はそれが改めて意識され、そして認識されたと言えるでしょう。
すでに男女関係なく着られる洋服が多くなり、それに抵抗を感じる人も少なくなっている2018年は、もはやジェンダーレスを通り越し、ジェンダーを意識しないことによって自由さを増したジェンダーフリーという考え方になってきたというのが、より真実に近いように思われます。
◆ これからファッションはどう変わるのか
ジェンダーフリーという新しい見方が認識されたことから、今後どのようなジェンダーレスファッションになっていくのかが気になりますが、時代の流れや人々の考え方によって形を変え、また新しいものが登場してくるでしょう。
もしかすると、原点回帰する可能性も全く否定できませんが、ジェンダーへの考え方が根本的に変わり、しっかりと定着していることを思うと、女性らしさや男性らしさという言葉は、もはやファッションにおいてはいらなくなってしまったと言っても過言ではないかもしれません。
この認識に立った上で、その先にたどり着くジェンダーレスを象徴するファッションがどのようなものになるのかは、むしろ変化自体が楽しみとなる意識改革が始まるような気がします。